同時廃止(同時破産廃止)

同時廃止(同時破産廃止)とは、債務者(破産申立人)に換価(物の値段を見積もること)する程の財産がないことがはじめから明らかな場合に、破産手続開始決定と同時に、破産管財人(裁判所が選任した弁護士など)を選任することなく破産手続きを終えてしてしまうことです(⇔管財事件(少額管財事件))。
通常なら破産開始決定と同時に裁判所は破産管財人を選任して、破産者の財産を調査、換価、処分し、各債権者に債権額に応じて配当しますが、破産者に換価するほどの財産がないことが明らかな場合は、破産管財人にかける費用や手間を省き、手続きをより迅速、かつ破産者の負担を軽くするために、この同時廃止の制度があるのです。
同時廃止となれば当然、債権者には配当は一切出ず(財産がないので仕方ありません)、引き続き「免責許可の決定」の手続きに入ります。
※従来までは「 同時廃止確定後の1ヵ月以内に免責申立てをする必要がある」となっていましたが、」平成17年の新破産法の改正により、「破産手続開始の申立てがあれば、原則として免責許可の申立てもあったものとみなす」となりましたので、免責申立てを特に行う必要がなく、手続きの迅速化が図られています(債務者が、破産手続開始の申立ての際、免責の申立をしない旨を特に述べた場合は除く)。
※法人または、個人事業者の場合は原則、同時廃止になることは少なく、破産管財人が選任され、管財事件となります。
※どれほどの財産があれば管財事件となるかは「⇒一定の財産を失う」を参照してください。またどのような財産を失わなくてもいいかは「⇒自由財産(差押禁止財産)」を参照してください。
同時廃止の割合 | |
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しかし近年では、少額管財事件という制度ができましたので、「約20万円」の財産(現金・預貯金・自動車・生命保険の返戻金・退職金など)が残っている場合には、同時廃止ではなく、少額管財事件として扱われることも増えてきています(少額管財事件は東京地方裁判所などの一部の裁判所でしか扱っていません)。
同時廃止になれば | |
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同時廃止になれば、当然、破産手続開始決定時に破産者が持っていた財産の所有権(管理処分権)を失うことはありませんし、破産手続開始決定後に取得した財産の所有権も当然、本人の物となります。
また同時廃止の場合は、「引越しや旅行が自由に行えます」が、破産管財人が付き、管財事件になった場合には、「免責許可の決定を受けるまで、裁判所の許可を取らなければ引越しや長期の旅行に行くことはできません」。
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